ドイツ・ベルリンを拠点に世界で活躍する現代アーティストイケムラレイコと塩田千春。2021年には名古屋にて二人展を開催し、その中ではコラボレーションドローイングも出品され話題になりました。ロックダウンで移動が制限されていた期間に、互いの家を行き来し対話を重ねながら、展示や作品制作について語りあった記録を、この度は待望の対話集として刊行、銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUMにて4月2日(土)より書籍刊行記念展が開催されています。
本展では、2021年の二人展「手の中に抱く宇宙」(KENJI TAKI GALLERY、名古屋)に出品したイケムラと塩田それぞれの作品、共作のドローイング、そして新作のコラボレーション作品も初披露されています。更に、石を持ったイケムラ自身の手がスキャンされた写真に塩田が赤い糸を縫い重ねた作品を、対話集とのセットでエディション版画として数量限定販売、4月1日(金)10時よりオンラインにてエントリー受付が開始されました。
4月1日(金)に行われたプレスプレビューでイケムラレイコと塩田千春は「話が合う」ことに気付き盛り上がったことが今回のコラボレーションの始まりだったと振り返ります。アーティスト同士ともなれば相手への尊敬の気持ちから遠慮が生まれるそうですが「対話をしていくうちにどんどん心をひらくことができ、色々と共通点も見つかってうれしかった」と塩田千春の表情からその喜びが溢れます。
毎回二人の話が盛り上がり「あ、話が合うんだ」と当時の心境について話すイケムラレイコの表情からも二人の間に築かれた信頼を感じさせます。女性アーティストとして、また美術館や美大では話せないようなことも対談を重ねるなかで語り合えたのだとか。
塩田千春は元々日本の美大では洋画を専攻していた。イケムラレイコのアトリエを訪れたとき、自身のなかに蘇る感覚と、美術館では味わうことのできない「アトリエのなかで絵が生きる」ことへの感動を強く感じたと言います。
イケムラレイコも「ダイナミックな線や曲線は、ワクワクして。塩田さんのインスタレーションから学ぶことが多かった」と言います。また、コラボレーション作品については「同じキャンバス、1つの作品に2人の作家が関わるというのは非常にスリルのある冒険なのです。読んでいただければ分かりますが、その信頼というのはこの対話のなかで、構築されてきたものだと思います」。とコラボレーション作品を生みだすうえでの信頼関係の重要性を強調します。
また、現代の社会とアートについて考えを聞かれた塩田千春は「私たちは否応なしに時代の空気を吸いながら作品を作っているというのがあって、クリティカルな作品を作るというよりも、そこに生きて、生活していることを受け止めながら、影響されながら作品を作るということこそが、アーティストができることかな」と現代アーティストとして秘める想いを話してくれました。
心の対話から宇宙へとつながる希少なコラボレーションを、対話集、作品の両面から是非ご鑑賞されてはいかがでしょうか。
展示風景
会期:2022年4月2日(土)~4月13日(水)
時間:11:00~20:00 ※最終日のみ、18時閉場
会場:銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM(イベントスペース)
入場:無料
主催:銀座 蔦屋書店
協力:Studio Ikemura/ATELIER CHIHARU SHIOTA/KENJI TAKI GALLERY
[書誌情報]
著者:イケムラレイコ・塩田千春 発行:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
発売:美術出版社
定価:3300円(税込)
仕様:A4変形、並製三方断、クータバインディング、箱入り、320項
一般販売日:2022年4月15日
[版画付き限定対話集]
展覧会開催に合わせて、エディション版画作品が付いた数量限定特装版対話集の販売が行われます。版画作品は2種、各エディション30でそれぞれにエディションナンバー・アーティストのサインが入った貴重な作品となっています。
詳細は特設サイトをご覧ください
Commentaires