サロンは、コート・デ・ブランという一つのテロワール、ル・メニル・シュール・オジェという一つのブドウ畑、そしてシャルドネという一種のブドウから生み出される、比類なきシャンパーニュです。このシャンパーニュは、パーフェクトな条件下でのみ生産される、無類の芸術品です。そのため、世界で最も優れた高級シャンパーニュのひとつとされています。ローラン・ペリエグループのシャンパーニュサロンとドゥラモットの専任社長ディディエ・デュポン氏は、こう説明します。「これはシャンパーニュ界・ワイン界の双方において類を見ないもので、当ワイナリーは1世紀の間に1クリュ、1ワイン、そしてわずか37のヴィンテージしか持たない唯一のワイナリーです。」そのため、すべてのボトルがコレクターズアイテムとなっており、ワインセラーには欠かせない存在となっています。
最初の1滴
両親の家庭がそれぞれワインメーカーであることから、野心家のデュポン氏が同じ職に就いたのは驚くことではありません。有名なローラン・ペリエで学び始め、ピノ・ノワールとピノ・ムニエで貴重な味覚のトレーニングを受けました。今から35年前、彼はここで、単一品種のシャルドネのみを使用したブレンドなしのシャンパーニュ「ブラン・ド・ブラン」に出会いました。彼はその最初の味を忘れることができません。「本当にびっくりしました...フレッシュでエレガントでありながら、非常に複雑で美しいバランスを感じたのです。」この経験が、彼のキャリアの軌跡を際限なく変えることになります。
ビジョンから誕生したシャンパーニュ
サロンは、一人の男、ウジェーヌ・エメ・サロンのビジョンから生まれました。他のワインメーカーとは異なり、サロン氏はブレンドされたシャンパーニュ造りには興味がなく、自分の心を捉えたテロワールへの愛を示すワイン造りをしたいと考えていました。彼は、ル・メニル・シュール・オジェのグラン・クリュの評価を受けた畑で生産されたシャルドネのみを使用し、他に類を見ないブラン・ド・ブランを生み出しました。1905年には、1世紀以上も変わることのない独自の製法で長い長い時間をかけ、初ヴィンテージをリリースしました。このエレガントなシングルブレンドのシャンパーニュは、現在、市場で最も優れたコレクションの一つとなっています。
熟成感のある深い味わい
サロンの卓越した品質の秘密は、独自の熟成プロセスにあるのかもしれません。「当ワイナリーでは、ワインを最低でも10年間、セラーで保管します。ですから、現在のヴィンテージは2007年、次のヴィンテージは2012年で、今年の年末にリリースする予定です。すでに9年間熟成されています。」劣化しやすい他のシャンパーニュとは異なり、サロンは年を重ねるごとに美味しくなります。デュポン氏は、自分のボトルを20年あるいは30年後に飲むよう勧めています。「多くの人がサロンを高級な赤ワインや白ワインのロマネ・コンティ、ペトリュスと比較するのはこのためです。私たちは同じ精神でワイン造りをしています。」
耐え忍び生み出すアート
サロン製造において、いつ、どんな時も変わらないのはひたむきさでしょう。すべての工程で優良な品質が保証されている唯一無二のワイン造りのスタイルは、間違いなく芸術のようです。画家の傑作と同様に、サロンのプロセスは急かすことができません。デュポン氏は確信しています。「サロンシャンパーニュのゆっくりとした製造プロセスや驚くほど長い保存性には、今の世の中に欠落している『何か』を利用しているのです。」彼はこう続けます。「現代人は皆、Taplap、フェイスブック、インスタグラムなどの速いニュースや情報に夢中になっています。しかし、サロンでは、最高のブドウを作り、最高のワインを作り、最高のワインを飲むためにたっぷりと時間をかけます。それが正にサロンのDNAです。サロンの価値は『時間』なのです。」
デュポン氏が社長に就任したことで、サロンの唯一無二の品質は確実に継承されています。彼は熱心な園芸家で、仕事以外でもワイン造りのすべての工程を監督し、テロワールやグラン・クリュに格付けされた畑のひとつひとつを大切にしています。「常に品質、ボトル注入後の品質、ボックス内のラベルの品質をどのように維持するかを考えています。すべてのディテールが、最高の品質でなければならないのです。」
謙虚さを表現したシャンパーニュ
デュポン氏にとってサロンは、一生に一度のお祝いで楽しむ一品というよりも、あらゆる機会で楽しむべきシャンパーニュです。サロンはもちろん単独で飲んでも素晴らしいのですが、料理とのペアリングも抜群です。「私はサロンをシンプルな料理と合わせて飲むのが好きです。例えば日本では、サロンをアワビと合わせて飲むのですが、これは素晴らしいペアリングです。また、魚介類だけでなく、お肉にも、クリームやマッシュルームなども合わせます。そしてもちろん、美しい景色と一緒に...あぁ、何て素晴らしい!」
共有ビジョンの大切さ
デュポン氏のシャンパーニュは、ブルゴーニュの高級ワインのマダムであるビゼ・ルロワ夫人をはじめとする最高クラスの人々から賞賛されています。しかし、このような多くの称賛にもかかわらず、彼は自分の功績に対して謙虚です。「サロンが一番だ、とは決して言いません。しかし、私はチームと協力してこの品質を維持し、品質に対するイメージを維持するため日々努力しています。」デュポン氏率いる若手5人のチームは、手の5本指のようであり、文化のるつぼでもあります。フランス、ポルトガル、韓国、アルゼンチンの物語や経験が混ざり合い、この類まれなるテロワールを最大限に活用しています。15年以上も共に働いてきた彼にとって今、この強い絆で結ばれたチームは第二の家族のようです。彼曰く、チームは時間をかけて成長し、同じビジョンと価値観を共有するようになったのです。「私たちはワインの品質を重視し、ワインやブドウ畑、シャンパーニュ地方の気候について話し合います。良いワイン造りのために欠かすことのできない条件についても話します。」
徹底した品質へのこだわり
ブドウ畑からプロモーションまで、意欲的なデュポン氏は、ワイン造りのすべての段階で卓越した芸術性を確実なものにしています。この意欲溢れるワインメーカーが指揮をとることで、サロン&ドゥラモットは、現存するシャンパーニュの中で最も洗練された、コレクション性の高いシャンパーニュを生産し続けることができるのです。
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