top of page

中国ベストセラー小説を映画化したクライムサスペンス「ゴールド・ボーイ」

完全犯罪を成し遂げたはずが、犯行は少年たちに目撃されていた…。

予想外の展開で幕を開ける映画「ゴールド・ボーイ」。原作は「中国の東野圭吾」と称されるベストセラー作家・紫金陳氏(ズー・ジンチェン)の小説「悪童たち」。中国では2020年にネットドラマ化され、総再生回数20億回を超える大ヒットを記録しました。


ゴールド・ボーイ

映画版「ゴールド・ボーイ」は、ストーリーの舞台を沖縄に移し日本映画化を果たした作品。殺人犯と、その犯行を偶然目撃した少年少女たちの心理戦を描きだします。貧困など家庭に問題を抱える少年少女たち。お金さえあれば自分たちの問題は解決すると考え、殺人犯を脅迫して大金を得ようと画策します。狡猾な殺人犯と、殺人犯を脅迫する少年たちの駆け引きが二転三転する、先の見えないクライムサスペンスが作品の見どころ。製作総指揮は、日本・中国の映画業界で事業を展開するチームジョイ株式会社のCEO、白金(パイ・ジン)氏。「デスノート」、平成「ガメラ」3部作などのヒット作で知られる金子修介監督がメガホンを取り、サイコパスの殺人鬼を「ドライブ・マイ・カー」「ゆとりですがなにか インターナショナル」の岡田将生さんが怪演します。

 

岡田さんが演じる「東昇」は、富豪である義理の父母を崖から海へ突き落とし、悪びれもせず我が道を突き進む倫理観の欠如した男。冷淡で計算高いかと思えば喜怒哀楽をはっきり示す一面も見せ、関わる者を翻弄していきます。殺人鬼「東昇」と対峙するのは、羽村仁成が演じる13歳の「安室朝陽」とその友人・「浩」、義理の妹・「夏月」。少年少女特有の純粋さと残酷さが見え隠れし、特に冒頭とラストシーンではまるで別人のように変貌する朝陽の表情は必見。江口洋介、北村一輝、黒木華ら実力派俳優が脇を固め、どこか異国情緒を感じる沖縄を舞台に、血なまぐさく悲劇的、それでいて純粋なストーリーが展開していきます。

 

中国ベストセラー小説の日本映画化ということで注目を集め、3月に開催された香港国際映画祭に招待・上映された「ゴールド・ボーイ」。日本を飛び越え、アジアから世界に羽ばたくことになった金子修介監督にお話を伺いました。

 

ー 香港国際映画祭で「ゴールド・ボーイ」が上映された感想をお聞かせください。

 

香港国際映画祭では2007年に「デスノート」が脚本賞を受賞しましたし、企画のセールスを試みた年もありました。今回は、コンペとは別の「お披露目」というかたちで上映していただけることを大変光栄に思っています。香港国際映画祭はなんといっても「アジアの入り口」という意識がありますから。

 

― 「ゴールドボーイ」を監督するにあたって、最も重要だと考えたポイントは?

 

少年たちと下劣な殺人鬼の物語なのですが、中国の原作では、話が進むにつれて次第に中国の社会の姿が透けて見えるところがあるんです。その部分は、映画版では日本の社会性が見えるようにローカライズするのがポイントと思って制作しました。原作通りに映像化すると事件を追う警察の捜査が甘く見えてしまうので、日本特有の閉鎖的な社会や地域性を描き、その隠蔽体質が捜査の邪魔になったと置き換えることで日本的な脚色に仕上がったと思います。


ゴールド・ボーイ

 

「今後のことはまだ考えられない状態」というほどこの作品に全力を注いだ金子監督。その金子監督に主演を任されたのが俳優の岡田将生さん。岡田さんはどんな思いで「サイコパスの殺人鬼」という難役に取り組んだのでしょう。

 

― 役作りにおいて、特に力を入れた点をお聞かせください。

 

キャラクターの役作りそのものより、子供たちとの関係性に重点を置こうと思っていました。僕の演じた東という役は、知的で計画性のある、いわゆる「サイコパス」と呼ばれる人間ですが、子供たちと接することで「東」という人間もまた、影響を受けていくんです。

役作りの上でもあくまでも子供たちをメインに考えました。子供たちと関わることで、サイコパスの「東」に少しでも人間性を付け加えていけたらと思って、丁寧につくり上げました。

 

ー 映画の中で最も挑戦的なシーンはどんな場面ですか?

 

どのシーンも挑戦的でしたが、子供たちと対峙するシーンは特に神経を使いました。そこがやはり一番印象深いですね。


難しい役どころを演じ上げた岡田さん。「今回のサイコパスの役の印象があまりに強烈だったので、しばらくこのような役はお休みしたいくらいです」と笑いを交えて語ってくれました。

 

香港国際映画祭では、主演の岡田将生さんと金子修介監督がレッドカーペットと舞台挨拶に登壇。上映後は拍手と大歓声が鳴りやまず、中国原作の日本映画がアジアで熱狂的に受け入れられたことを示しました。

「ゴールド・ボーイ」はイタリアで開催される「ウーディネ極東映画祭」のコンペティション部門への参加も決定。「日本映画」の枠を超えた「アジア映画」としてますます注目を集めています。


ゴールド・ボーイ
 

映画『ゴールド・ボーイ』


Interview credit

■岡田將生

stylist:Oishi Yusuke

hair&MakeUp:Kobayashi Reiko


Venue: The Mira Hong Kong

bottom of page