シャトー・ムートン・ロスチャイルドとサザビーズ、アーティスト・ラベル100周年記念オークションを開催
2027年2月4日、サザビーズはロンドンにて『シャトー・ムートン・ロスチャイルド:芸術とワインラベル ― 100周年記念限定販売』を開催します。1924年にジャン・カルリュが手掛けた先駆的な「アーティスト・ラベル」の伝統が100周年を迎えることを祝し、シャトーのセラーから直送される記念すべきオークションです。このセールでは、1924年の初代ヴィンテージおよび2024年ヴィンテージなども出品され、後者のアーティスト・ラベルは、2026年12月1日に公開される予定です。

100年の歩みを映すボトルの数々。1924年から2024年までのヴィンテージから厳選した77本とマグナムボトル1本で構成されるバーティカル。左はジャン・カルリュによる1924年のラベル。
Courtesy of Sotheby's
一族3世代にわたって受け継がれてきた伝統であり、ムートン・ロスチャイルドの現在のアイデンティティを定義する表現のひとつであるアーティスト・ラベルの歴史において、重要な節目となる今回のオークションでは、歴史的なヴィンテージや、これまで市場に出たことがない数量限定のビッグボトル、記念ロットに加え、2025年ヴィンテージの樽が一堂に会します。オークションの目玉となるのは、100周年記念のために特別に制作されたオファーのセレクションです。これには、ロスチャイルド家の豊かな遺産を称える記念ロット、アーティストの直筆サイン入りフォーマット、そして今回のオークションのためだけに制作された「サプライズ」ロットの傑出したワインが含まれています(詳細は追って発表予定)。一部のスーパーロットおよび特別テーマのオファーには、2027年6月12日にシャトー・ムートン・ロスチャイルドで開催される「100周年記念ガラディナー」への特別招待状も含まれています。推定価格190万~310万ポンドとされる、今回のセールは次の5つの章に沿って行われます:「現代の表現(The Contemporary Expression)」「100周年記念(Centenary Celebration)」「未来(The Future)」「芸術との対話(The Artistic Dialogue)」「起源と遺産(Origins & Legacy)」。
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社のCEOであり、シャトー・ムートン・ロスチャイルドの共同所有者であるフィリップ・セレイ・ド・ロスチャイルド氏は、次のように述べています。「1924年に芸術家ジャン・カルリュがイラストを手掛けたファーストラベルの100周年を、当社セラーに眠る希少な最高級ボトルを分かち合うことで、上質なワインと現代アートを愛する皆様とともに祝福したいと思います。このオークションは、ムートンの歴史をたどる旅であるだけでなく、シャトー・ムートン・ロスチャイルドと芸術との深い絆を称えるものです。これはアイコニックなヴィンテージの系譜を通じて、私たち一族の歴史をたどることでもあるため、個人的にも感情的にも、私たちにとってとりわけ重要な意味を持っています。この機会は間違いなく、喜びと熱意、そして情熱にあふれた、ことさら印象深いひとときとなることでしょう」

フィリップ・セレイ・ド・ロスチャイルド、ジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスチャイルド、カミーユ・セレイ・ド・ロスチャイルド。© Gabriel Guibert
5つの章
「現代の表現(The Contemporary Expression)」では、2000年~2023年ヴィンテージの、さまざまなサイズのボトルでオークションが開幕します。通常サイズのボトルと大きいサイズのボトルを組み合わせた希少なスーパーロットも含まれており、中にはこれまで一度も市場に出回ったことのないものもあります。ハイライトは、2000年(アウクスブルクの牡羊)、2005年(ジュゼッペ・ペノーネ)、2009年(アニッシュ・カプーア)、2010年(ジェフ・クーンズ)、2016年(オラファー・エリアソン)、2018年(シュ・ビン)、2019年(ピーター・ドイグ)、2020年(ウィリアム・ケントリッジ)といった、高い評価を得ているヴィンテージです。推定価格は2,200~2,800ポンドから、120,000~240,000ポンドとなっています。
「100周年記念(Centenary Celebration)」では、アーティストが初めてデザインしたラベルの100周年を記念し、1924年の初代アーティスト・ラベルのヴィンテージ(ジャン・カルリュ)、そして2024年のヴィンテージをあわせてご紹介します(スーパーロットの推定価格:20,000~40,000ポンド)。またこの章には、オークションに先立って公開される、唯一無二の「サプライズ」ロットも登場する予定です。
「未来(The Future)」のもうひとつのハイライトは、シャトー・ムートン・ロスチャイルド2025の樽です。2028年初めにシャトーから直送される2025ヴィンテージを手に入れるまたとない機会です(推定価格:75,000~150,000ポンド)。300本分に相当するワインは、落札者が選んだサイズのボトルに詰められ、特注ラベルで自分の好みにアレンジできます。

「未来」の章の中心となる、シャトー・ムートン・ロスチャイルド2025の樽。© Gabriel Guibert
セールの核心となる「芸術との対話(The Artistic Dialogue)」では、ムートン・ロスチャイルドの芸術遺産を、象徴主義やシュルレアリスムから、抽象主義、モダニズム、ヌーヴォー・レアリスム、ポップアートまでの20世紀を代表する芸術運動からの触発を得て、特別編成したコレクションへと昇華しています。主なハイライトとして、シュルレアリスムには、レオノール・フィニ(1952年)、マッタ(1962年)、ジョアン・ミロ(1969年)、ポール・デルヴォー(1985年)といった画家が集められ、モダニズムには、ジョルジュ・ブラック(1955年)、パブロ・ピカソ(1973年)、ゲオルグ・バゼリッツ(1989年)、フランシス・ベーコン(1990年)、バルテュス(1993年)、ルシアン・フロイド(2006年)が登場します。ポップアートは、アンディ・ウォーホル(1975年)、ソール・スタインバーグ(1983年)、キース・ヘリング(1988年)、デイヴィッド・ホックニー(2014年)によるラベルを冠した4本のマグナムボトルで構成されています。付随するコレクションは、ムートン・ロスチャイルドのラベルに繰り返し登場する2つのモチーフである「牡羊」と「ブドウ」をテーマに展開されます。
「現代の表現」より、これまで市場に出たことのないものを含むラージフォーマット。Courtesy of Sotheby's 1945年の「V」ラベルをはじめとする歴史的ヴィンテージ。Courtesy of Sotheby's 2000年から2023年までの「現代の表現」のラベル。Courtesy of Sotheby's 4本のボトルに見る芸術運動の対話。3本目はキース・ヘリングが1988年のヴィンテージに手掛けたラベル。Courtesy of Sotheby's
「現代の表現」より、これまで市場に出たことのないものを含むラージフォーマット。Courtesy of Sotheby's
1945年の「V」ラベルをはじめとする歴史的ヴィンテージ。Courtesy of Sotheby's
2000年から2023年までの「現代の表現」のラベル。Courtesy of Sotheby's
4本のボトルに見る芸術運動の対話。3本目はキース・ヘリングが1988年のヴィンテージに手掛けたラベル。Courtesy of Sotheby's

アンディ・ウォーホルが手掛けた1975年のラベル。シャトーに所蔵される原画作品の前で。Courtesy of Château Mouton Rothschild
注目のバーティカルも、もうひとつのハイライトです。これは、1924年から2024年までのヴィンテージから厳選した77本とマグナムボトル1本で構成されています(推定価格:150,000~300,000ポンド)。このロットは、ジャン・カルリュの当初の参加から、初代ラベル100周年を記念するヴィンテージに至るまで、ムートン・ロスチャイルドのワインとラベルの歴史について、ひとつのコレクション内で他に類を見ない視点を提供します。インペリアルを中心とするビッグボトルに特化したグループには、ムートン・ロスチャイルドのラベルを手掛けたアーティストたちのサインがこの機会を記念して入れられる予定です。その中には、アニッシュ・カプーア(2009年)、ゲルハルト・リヒター(2015年)、オラファー・エリアソン(2019年)も含まれ、ロスチャイルド家の第6世代のサインもあわせて配されます。推定落札価格86,500~173,000ポンドのこれらのロットの売上金の50%は、国境なき医師団に寄付されることになっています。選定されたロットは、パリのピカソ美術館、ロデーズのスーラージュ美術館、ニューヨークの近代美術館、ヴェルサイユ宮殿の支援にも活用される予定です。「ヴェルサイユ宮殿支援基金」の7本セットには、ヴェルサイユで個展を開催した7人のアーティストが手掛けたラベルが冠されたワインが集められています。
100周年を記念してサインが入れられたラージフォーマット。オラファー・エリアソンの2016年のラベル。Courtesy of Sotheby's バルテュスがラベルを手掛けた1993年ヴィンテージ。Courtesy of Sotheby's 平和の回復を祝してフィリップ・ジュリアンが描いた「V」のラベル、1945年ヴィンテージ。Courtesy of Sotheby's
100周年を記念してサインが入れられたラージフォーマット。オラファー・エリアソンの2016年のラベル。Courtesy of Sotheby's
バルテュスがラベルを手掛けた1993年ヴィンテージ。Courtesy of Sotheby's
平和の回復を祝してフィリップ・ジュリアンが描いた「V」のラベル、1945年ヴィンテージ。Courtesy of Sotheby's
最終章「起源と遺産(Origins & Legacy)」は、フィリップ男爵が経営を引き継いだ1922年に立ち戻り、伝説的な1945年や1959年といった歴史的なワインを網羅しています。アイコニックなヴィンテージの多彩なサイズのボトルを取り揃えたスーパーロットに加え、同時代の希少なビッグボトルも出品されます。シャトー・ムートン・ロスチャイルドの一族の主要メンバーの歴史における節目を祝福するために特別に制作されたアソートメントでは、「男爵への頌歌」は、フィリップ男爵が経営を継いだ初年度から始まり、1922年から1987年までのヴィンテージを含む8つのヴィンテージで構成されています(推定価格:30,000~60,000ポンド)。「男爵夫人への頌歌」には、1933年から2014年までのフィリピーヌ男爵夫人の生涯にわたる7つのヴィンテージが集められています(推定価格:9,000~18,000ポンド)。
サザビーズのワイン&スピリッツ部門グローバル責任者、ニック・ペグナ氏は次のように語っています。「一世紀にわたり、シャトー・ムートン・ロスチャイルドは、ワイン造りと芸術という素晴らしい2つのクリエイティブな探求が交差する地点にあります。今回の類まれなセールは、1924年にジャン・カルリュの先駆的ラベルによって初めて形成されたビジョンを称え、そこから受け継がれてきた比類のない芸術遺産の足跡をたどるものです。シャトー直送の歴史的なワイン、これまで市場に出たことのないワイン、そしてこの100周年記念のためだけに制作された一連のクリエーションを一堂に集めたこのオークションは、ワイン界で最も名高いストーリーのひとつに触れる、一世一代の機会です」。また、サザビーズ・ワイン名誉会長セレナ・サトクリフ(マスター・オブ・ワイン)は、「世界屈指のアーティストたちの作品で彩られたボトルを擁する、シャトー・ムートン・ロスチャイルドの偉大なワインを集めたこのオークションほど、ワインと芸術が深く結びついたセールは他には存在しないでしょう」と述べています。
ラベルに秘められた物語
1922年にワイナリーの経営を引き継いだ際、フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵は、自分の芸術への情熱をムートン・ロスチャイルドの近代化への決意と融合させました。1924年、彼はシャトーでその年の収穫分すべてをボトル詰めするという先駆的な取り組みを行い、自社ワインに対するシャトーの責任を明確にするとともに、ボルドーの格付けワインにおける新たな基準の確立に貢献しました。フィリップ男爵は、自らのワインが自らのボトルに収められ、自らのラベルが冠されることを望みました。彼が著名なポスターデザイナーのジャン・カルリュにシャトー・ムートン・ロスチャイルドのラベル制作を依頼したことで、アーティストによって描かれた初めてのラベルが誕生しました。1945年、今度は平和が戻ってきたことを祝し、フィリップ男爵は、若手画家フィリップ・ジュリアンが描いた勝利を象徴する「V」をそのヴィンテージのラベルに冠することを決意します。この特筆すべき出来事がきっかけとなり、1946年からはジャン・ユゴー(1946年)をはじめとする、ジャン・コクトー(1947年)、レオノール・フィニ(1952年)といった芸術家の友人たちに原画作品への参加を依頼する伝統が始まりました。

フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵と、1988年に後を継いだ娘のフィリピーヌ男爵夫人。Courtesy of Château Mouton Rothschild
重要な転機となったのは、ジョルジュ・ブラック(1955年)がこのヴィンテージのイラスト制作を引き受けたことです。これにより、ダリ、セザール、ミロ、シャガール、ピカソ、ウォーホル、スーラージュといった、20世紀および21世紀の最も著名な芸術家たちが続々と参加する道が開かれ、毎年新作が加わる魅力的なコレクションが形成されていきました。これらの芸術家の多くは、シャトー・ムートン・ロスチャイルドに滞在したことがあり、彼らの原画作品は今日、シャトー来訪者に「芸術とワインラベル」展示スペースで公開されています。

原画作品を展示するシャトーの「芸術とワインラベル」展示スペース。© puxanphoto
フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人(1933年~2014年)は、こうしたつながりをさらに発展させ、父のビジョンを新たな高みへと導きました。1981年、彼女は巡回展『芸術とワインラベル』を企画し、ムートン・ロスチャイルドの原画作品を世界中に披露しました。1988年に父の後を継いだ後、彼女は一族のワイナリーの近代化と振興を推進し続けると同時に、才能ある芸術家や画期的なヴィンテージを次々と生み出し、ムートン・ロスチャイルドならではの芸術遺産を守り続けます。その主導のもと、この伝統はキース・ヘリング(1988年)、ゲオルク・バゼリッツ(1989年)へと続きました。ベルリンの壁が崩壊した年に生産された1989年ヴィンテージは、傑出したワインであると同時に、近現代ヨーロッパ史における決定的な瞬間の証人でもあります。翌年このラベルは、20世紀最大の影響力をもつ画家の一人であるフランシス・ベーコン(1990年)へと受け渡されました。また男爵夫人は、協商100周年記念して、チャールズ皇太子殿下(現・国王陛下)にラベル作品の制作を依頼し、ムートン・ロスチャイルド2004のラベルに殿下の水彩画を使用する承諾をいただきます。2014年からは、彼女の子供たちであるカミーユ・セレイ・ド・ロスチャイルド、フィリップ・セレイ・ド・ロスチャイルド、ジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスチャイルドが、ワインと芸術に対するこの共通の志を継いでいます。アーティストは現在も一族の意向で選定され、ジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスチャイルドがアーティストとの交渉を統括しています。彼らの経営方針は、フィリップ男爵の信条であった「ブドウ畑に生きる(Vivre La Vigne)」の精神に忠実に、技と匠の心をもって表現し、芸術によって称えるというブドウ畑への献身にほかなりません。

ポイヤック、メドック地区にあるシャトー・ムートン・ロスチャイルドのブドウ畑。© Pierre Grenet
『シャトー・ムートン・ロスチャイルド:芸術とワインラベル ― 100周年記念限定販売』は、2027年2月4日(木)、ロンドンのサザビーズにて開催されます。2024年ヴィンテージのアーティスト・ラベルは、2026年12月1日に公開される予定です。※推定価格にはバイヤーズプレミアムは含まれません。

