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「アートはいつだって大げさなもの」コロンビア人画家フェルナンド・ボテロの作品に見るふくよかな形

描くものや人がすべて膨らんでいる「大きめサイズ」な作品で広く知られるコロンビア生まれの画家兼彫刻家、フェルナンド・ボテロ。その作品は世界中で認められ、これまで多くの名だたる美術館で展示されてきました。ボテロは母国コロンビアの文化や伝統からインスピレーションを得ており、自らを生粋のコロンビア人アーティストだとしています。


今回はボテロに、アーティストとしての道のりやインスピレーションの源、作品に見られる文化の影響について話を聞きました。

Master Fernando Botero

「真のアーティストであるために必要なのは、

作品づくりへの情熱と愛、

そしてそれをどんな時も欠かさず追い求める意志なのです。」


アーティストとして大人になる

「本物の画家なら、目に入るものすべてが絵を描くための口実になる、と私は言い続けてきました。」ボテロはこれまでの経験を振り返って話してくれました。「確かに私は、絵を描くプロになるためのトレーニングや教育を受けていません。でも、絵画にとても強い情熱があった。小さい頃から絵を描くことにだけ、心からの喜びを感じていました。」

アーティスト人生の方向性を決めるきっかけとなった出来ごとについて、ボテロは話してくれました。「おもしろい経験をしたことがあります。ある日私は市場に行き、目の前に立っていた男性を描き始めました。するとその人は、私が彼の絵を描いていることに気づき、突然私の方へやってきて、描いていた絵を破ったのです。その時私は気づきました。そのようなやり方で人を描いてはいけないということを。誰かのことを眺めて描くことが、その人にとって迷惑になることもあるのだと。」

ボテロは続けます。「それ以来、モデルを前にして絵を描いたことは一度もありません。私の作品は、私の記憶なのです。私が20年間暮らした“パイサ”(スペイン語で「田舎・地元」の意)の街並みや人物を、記憶の力を借りて表現しています。こういうことって記憶に残りますよね。そこは私が生き方を学んだ場所であり、そういう素晴らしい空間がまるまる、記憶の奥深くに残るのですよ。」


Still Life with Watermelon Artist/ Fernando Botero

Ballerina Artist/ Fernando Botero

大げさの哲学

ボテロは自身の作品スタイルについて、「アートでボリュームを表現すること」に興味があると話します。


「17歳の時にふくよかな体型の人物を描き始めました。初期の水彩画でデフォルメ表現が大きく見られるものは、まだカタログにも残っています。」ボテロはさらに続けます。「でも、どうしてふくよかな人物を描いたのか、自分でもわかりませんでした。それが何かを私に伝えているような気がして、だから直感でやってみたんです。その後、イタリアに行ったとき、ミケランジェロやラファエロ、ジョット、マサッチョ、ピエロ・デラ・フランチェスカなど、イタリアの画家はみな豊満さを描いているのを見ました。そこで、ボリュームはアートにおいて重要であることを理解したのです。」


「特にイタリア絵画はボリュームの使い方が素晴らしい。イタリア絵画は、人やものをより官能的にし、色やかたちをより強調するためにボリュームを使っています。賞賛したくなるほどに。アートはいつだって大げさなもので、画家は色やかたち、線を誇張するのです。」さらにボテロはこうも言いました。「もしアーティストになりたいなら、良い人間、良いアーティストになるよう背中を押してくれる、インスピレーションを与えてくれる偉大なアーティストを尊敬し、日々学び続けることです。」


1970年代にパリへ移住することを決めた当時を振り返り、ボテロは言います。「自分の絵を感じ、触れたい。三次元のかたちを持たせたい。いつもそう感じていました。そこから彫刻を学びたいと思い、1972年、イタリアのピエトラサンタで1年間、彫刻を学びました。小さな像をつくることから始まり、そのあと、もっとボリュームを持たせ、もっとパワーを与え、より大きくする方法を学んだのです。」

Reclining Woman Artist/ Fernando Botero

ラテンアメリカの伝統的なアートの力

「アートが万国共通であるためには、同時に地域的でなければなりません。私が生まれ育ったコロンビアのメデジンという街は、美術館も文化施設もなく、伝統的なアートもない小さな街です。そのような街で育った私が、なぜアーティストになろうと思ったのか、不思議ですよね。」

「『人生で何を達成するかは、何を賞賛するかである』私はこう信じています。人生でいちばん大切なことは、誰を尊敬するか、です。 」


幼少期にコロンビアを離れたものの、その頃のコロンビアの記憶を描き続けているというほど、母国の文化の影響を強く受けているボテロ。「もちろん、歴史に残る偉大なアーティストからも大きな影響を与えられました。でも、地域的であり、かつ、万国共通の言葉で語る、そんな方法で絵を描いています。私の作品は間違いなく世界共通語を話しているのだと思うと、感動的ですね。」


The Dancers Artist/ Fernando Botero

 

ボテロ展 ふくよかな魔法


ボテロ生誕90周年を記念した「ボテロ展 ふくよかな魔法」が日本で開催されます。日本では実に26年ぶりとなる2022年、国内3会場を巡回することとなりました。本展はボテロ本人監修のもと油性ならびに水彩・素描作品の全70点で構成され、その多くは日本で初公開となります。なかでもボテロが描き続ける「モナ・リザ」をテーマにした作品「モナ・リザの横顔」(2020)の公開は多くの方が心待ちにしているのではないのでしょうか。今もなお、作品を生み出し続けるボテロとの新たな出会いが「ボテロ展 ふくよかな魔法」で待っているかもしれません。


Mona Lisa Artist/ Fernando Botero Made in 1978

東京:2022年4月29日〜7月3日 Bunkamura ザ・ミュージアム

名古屋 :2022年7月16日〜9月26日 名古屋市美術館

京都 :2022年10月8日〜12月11日 京都市京セラ美術館


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