2026年ノーベル賞
更新日:2 日前
科学の発見、文学の創造、平和への貢献
2026年のノーベル賞は10月5日から12日にかけて発表され、6分野で計10人が選ばれた。神経細胞の活動を光で操作する技術や、遠い宇宙から届く素粒子の観測、分子の立体構造に関わる化学反応の研究が受賞につながった。文学ではジャンルの境界を越える表現が、平和賞では国際法を通じた人権擁護が評価され、経済学賞は景気の安定化を考える理論研究に贈られた。
アルフレッド・ノーベルの遺志に基づく5賞と、後に創設された経済学賞。対象とする分野は異なるが、いずれも研究や創作、社会への働きかけがもたらした成果に光を当てている。
生理学・医学賞
カール・ダイセロス、ペーター・ヘーゲマン、ゲオルク・ナーゲル

光に反応するタンパク質を利用し、特定の神経細胞の働きを光で制御する「光遺伝学」の基盤を築いた。神経活動を観察するだけでなく、特定の神経回路を操作して、その役割を確かめられる点が画期的だ。脳の働きや行動の仕組みを解き明かす研究手法として広く用いられている。
物理学賞
フランシス・ハルツェン

南極の氷を巨大な検出器として利用する「アイスキューブ・ニュートリノ観測所」の実現と、宇宙に起源を持つ高エネルギーニュートリノの発見に貢献した。物質とほとんど反応せずに飛来するニュートリノは、光だけでは探りにくい宇宙の激しい現象を調べる新たな手掛かりとなる。
化学賞
アンリ・B・カガン、硤合憲三

同じ原子から成りながら、右手と左手のように鏡像関係にある分子。その一方を選択的につくることは、医薬品を含むさまざまな化学物質の合成で重要となる。両氏は不斉合成における非線形効果と自己触媒反応を解明し、わずかな偏りが反応の過程で大きく増幅される仕組みの理解を進めた。
文学賞
アン・カーソン

カナダの詩人、翻訳家、古典研究者。古代ギリシャ文学を創作の源泉としながら、詩、散文、エッセー、翻訳の境界を自在に行き来してきた。古典を過去の遺産として扱うのではなく、愛や喪失、言葉をめぐる現代の問いと響き合わせる。その独創的な形式が高く評価された。
平和賞
ナバネセム・ピレイ(通称ナビ・ピレイ)

南アフリカ出身の法律家。国連人権高等弁務官を務め、国際刑事裁判の場でも活動してきた。重大な人権侵害に対する責任の追及と、国際法に基づく公正の実現に長年取り組んでいる。平和を支える基盤として法の支配を重視してきた歩みが評価された。
経済学賞
ロバート・E・ホール、マイケル・ウッドフォード

家計や企業の判断が、景気や雇用、物価の動きにどう結び付くのか。両氏は個々の経済主体の行動を出発点に、経済全体の変動を説明する理論を発展させた。景気が不安定になった際に政策が果たす役割を検討するうえでも、現代のマクロ経済学に重要な基盤を与えている。


