LABUBU、その世界の輪郭MONSTERS BY MONSTERS: NOW AND THEN
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MONSTERS BY MONSTERS: NOW AND THEN
2026年6月、麻布台ヒルズギャラリーで開幕した「MONSTERS BY MONSTERS: NOW AND THEN」は、アーティスト Kasing Lung(カシン・ロン)が手がける『THE MONSTERS』シリーズの10周年を記念する展覧会である。
近年、LABUBUというキャラクターは、アートトイの領域を超え、さまざまな場面で目にする存在となった。しかし本展で注目すべきなのは、その人気の規模ではない。
むしろ、一人のアーティストによって生み出された物語世界が、どのように空間へと展開され、人々の想像力を受け止める場として成立しているのか。その点にこそ、本展の興味深さがある。

物語から生まれた存在
Kasing Lungは香港に生まれ、幼少期をヨーロッパで過ごした。彼の作品には、北欧の民話や幻想文学の影響が色濃く見られる。
LABUBUもまた、そうした物語世界の中から誕生した存在である。
9本の歯を見せながら笑う表情は、可愛らしさだけでは説明できない曖昧さを持つ。どこか親しみやすく、それでいて少し不穏でもある。その両義性が、見る者の想像力を刺激する。
Kasing Lungが描くキャラクターたちは、単なるマスコットではない。作品ごとに背景となる物語が存在し、それぞれが一つの世界観を構成している。
本展は、その世界観そのものを体験するための試みと言えるだろう。

展示空間としての『THE MONSTERS』
会場では、『THE MONSTERS』の物語が立体的な空間として再構成されている。
来場者は作品を鑑賞するだけではなく、物語の内部へと足を踏み入れるような感覚を味わうことになる。
展示の中心となるのは、『The Story of Puca』をもとに制作された没入型映像シアターである。
五面プロジェクションと立体音響によって構成された空間には、声優・花江夏樹によるナレーションが響き、来場者を物語へと導く。もともと限定出版された絵本作品として発表された物語が、今回初めて映像作品として公開される。

また、会場内にはスケッチや原画、立体作品、アーカイブ資料も展示されており、Kasing Lungの創作過程を辿ることができる。
完成されたキャラクターだけではなく、その背後にある思考や試行錯誤の痕跡を見ることができる点も、本展の大きな魅力の一つである。


東京という舞台
東京展にあわせて制作された新作には、富士山や東京タワーといった日本を象徴するモチーフが描かれている。
こうした土地との関係性は、Kasing Lungの作品にしばしば見られる特徴でもある。キャラクターは固定された存在ではなく、それぞれの場所と出会いながら新たな物語を獲得していく。
さらに会期中、麻布台ヒルズの各所には『THE MONSTERS』のキャラクターたちが登場する。屋外には高さ約6メートルのKINGMONが設置され、展示空間はギャラリーの内部だけでなく都市へと広がっていく。
展覧会と都市空間との緩やかな接続は、本展に独特の開放感をもたらしている。
想像力の居場所
今日、多くのキャラクターが生み出されている。
そのなかでLABUBUが人々を惹きつける理由は、デザインの魅力だけではないだろう。
その背後には、一貫した物語があり、想像力を受け入れる余白がある。
『MONSTERS BY MONSTERS: NOW AND THEN』は、10年間の歩みを振り返る展覧会であると同時に、現代において物語がどのように共有され、新たな体験へと変化していくのかを示す場でもある。
Kasing Lungが描く幻想の世界は、決して現実から切り離されたものではない。
むしろ私たちの日常のすぐ隣に存在し続ける想像力の居場所を、静かに示しているのである。
From Left: COCOMI, KASING LUNG, TSUBASA HONDA
Exhibition Information
THE MONSTERS 10周年記念展 東京
MONSTERS BY MONSTERS: NOW AND THEN
会期:2026年6月11日(木)– 7月5日(日)
会場:麻布台ヒルズギャラリー
(東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階)
開館時間:10:00–19:00
(最終入場18:00)
主催:POP MART JAPAN




