戦後日本を代表する芸術運動「GUTAI」と、現代のポップカルチャーを融合させた画期的な展覧会が、東京・有楽町で開催されています。Yoshiaki Inoue Gallery と NANZUKA がタッグを組んだ「GUTAI x POP UNDERGROUND」展は、戦後アートの革新精神と現代ポップカルチャーの交錯点を探る試みとして注目を集めています。
「GUTAI」の創始者でリーダーでもある吉原治良の「ひとの真似をするな」「いままで見たことの無いものを作れ」という言葉は、半世紀以上を経た今もなお、アーティストたちの心に響きます。この精神は、独自の表現を追求し続ける現代アーティストたちにも受け継がれているのでしょうか。本展は、そんな問いかけに答えようとする意欲的な企画といえるでしょう。
展覧会では、「GUTAI」を代表する6名のアーティストと、NANZUKAが手がける8名の現代アーティストの作品が一堂に会します。「GUTAI」からは、吉原治良、元永定正、白髪一雄、嶋本昭三、松谷武判、中辻悦子の作品が展示されます。これらの作家たちは、従来の絵画の概念を打ち破り、新しい表現方法を模索し続けました。例えば、白髪一雄のフット・ペインティングは、身体全体を使って絵画を制作するという斬新な手法で、今なお国際的に高い評価を得ています。また、嶋本昭三の「瓶投げ」のような過激なパフォーマンス作品は、アートの境界線を押し広げる挑戦的な試みでした。
一方、NANZUKAからは、中村哲也、佃弘樹、大平龍一、谷口真人、福本健一郎、安部貢太郎、村松佳樹、岡﨑龍之祐という8名の気鋭アーティストが参加します。これらのアーティストたちは、デザイン、イラスト、ストリートアート、漫画、ファッション、音楽など、多様な分野からインスピレーションを得て、独自の表現を展開しています。中でも、中村哲也は漆芸の技法を用いて視覚情報と生物の関係性を探求し、佃弘樹は幾何学的な構成と都市景観を融合させた近未来的な作品を生み出しています。また、安部貢太郎は食品材料を用いた独自の「絵の具」を開発するなど、素材そのものに新たな可能性を見出しています。NANZUKAは、ポップカルチャーと現代美術の接続を目指し、これまでアカデミックな美術界では評価されにくかった才能を再評価し、国際的な舞台で紹介する取り組みを続けてきました。本展は、そうした活動の集大成ともいえる企画です。
本展のキュレーターを務める井上彰人氏は、「GUTAI」の革新性と現代アートの多様性を結びつけることで、日本のアートシーンに新たな視点をもたらそうとしています。GUTAIが示した独自性と想像力が、現代のアーティストたちにどのように受け継がれ、発展しているのかを探ることが、本展の大きなテーマとなっています。展覧会では、GUTAIの作家たちによる歴史的な作品と、現代アーティストたちの最新作が共存することで、日本の現代アートの系譜を辿ると同時に、その未来の可能性を示唆しています。観る者に、アートの持つ力と可能性について、新たな視点の提供が期待されます。
GUTAI x POP UNDERGROUND
会期:2024年9月18日(水)〜 10月5日(土)
会場:CADAN有楽町(東京都千代田区丸の内3-1-1 国際ビル1階)
営業時間:火−金 11時−19時 / 土、日、祝 −17時 *月曜休業(祝日の場合は翌平日)
出展作家:
Yoshiaki Inoue Gallery:吉原治良、元永定正、白髪一雄、嶋本昭三、松谷武判、中辻悦子
NANZUKA:中村哲也、佃弘樹、大平龍一、谷口真人、福本健一郎、安部貢太郎、村松佳樹、岡﨑龍之祐
キュレーション:井上彰人
写真の提供:GUTAI x POP UNDERGROUND
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