アンリ・オーディフレッド守り、受け継ぎ、変えていく
ヴォーヌ=ロマネで、村の遺産と暮らし、そして変化への適応を結ぶ村長の視点。
インタビュー:松本オリビア|2026年8月27日
世界的な名声を持つ、小さな村の責任
2026年3月にヴォーヌ=ロマネ村長に就任したアンリ・オーディフレッドは、まず一つの率直な事実を口にする。「小さな、本当に小さな村ですが、世界的に知られています」。村の規模と国際的な知名度との大きな隔たりは、彼にとって何よりもまず責任を意味する。任期中の優先課題も極めて具体的だ。いくつかの歴史的建造物を修復すること、行事を通じて村に活気を取り戻すこと、公共空間の美化を継続すること、そして「村を美しくし、ここで心地よく暮らせるようにすること」。世界的な名声の一方で、ヴォーヌ=ロマネは何よりも、人が暮らし、働き、日々手をかけながら維持している生活の場であるという認識が、その出発点にある。

「村のほぼ隅々まで知っています」
オーディフレッドは、この土地との長年にわたる関わりが、村長としての職務のあり方にも必然的に影響していると語る。「村のほぼ隅々まで知っています」。だからこそ、何がうまくいっていないのか、何を改善すべきなのか、そして何をそのまま続けていくべきなのかを見極めることができるという。その視線は葡萄栽培家だけに向けられているわけではない。彼が重視するのは、葡萄栽培家とその従業員、ヴォーヌ=ロマネの住民、さらに村に暮らしながら村外で働く人々を含めた、共に暮らすことの重要性である。彼の自治体運営は、抽象的な政策構想というよりも、この土地と、その均衡を長年見つめてきた経験に根ざしている。
DRCでの14年間 熟考と敬意
家族のドメーヌに専念する以前、オーディフレッドはドメーヌ・ド・ラ・ロマネ=コンティ(DRC)で14年間働いた。Domaine Audiffredに関する専門資料では、その経験の中心は、コート・ド・ニュイからコート・ド・ボーヌに点在する区画での葡萄畑の仕事であったとされている。ただし、本人が今回のインタビューで強調したのは、特定の区画や技術ではない。彼が語ったのは、今も自身を導いている一つの「哲学」である。立ち止まって考えること、「自分たちが何をしているのかに注意を払うこと」、そして周囲にあるものと、先人から受け継いだ遺産に敬意を払うこと。彼はこの考え方を、自らのドメーヌだけでなく、村の行政にも生かしていると明言する。

「あなたたちには、守るべき遺産があります」
継承について語るとき、村長の言葉は行政の領域から、すぐに家族の話へと移っていく。子どもたちに、自分たちが今「手の中に持っているもの」が何なのか、自分自身が何を受け取り、そして将来何を彼らへ手渡していくのかを伝えているという。「あなたたちには遺産があります。大切に守りなさい」。彼にとって、その遺産とは不動産や経済的な資産価値だけを意味するものではない。そこには、世代を超えて培われてきたサヴォワールフェールと、暮らし方そのものが含まれている。したがって継承とは、一度きりの引き渡しではない。一つの世代が次の世代に、自分たちが何を受け取ったのか、それがなぜ大切なのか、そして今度は何を守っていかなければならないのかを日々伝えていく営みなのである。
偉大なワインの先にある、ヴォーヌ=ロマネ
ヴォーヌ=ロマネを訪れる人に、偉大なワインや著名なドメーヌ以外に何を理解してほしいかと尋ねると、村長が最初に挙げたのは「歴史」だった。コンティ公、教会、メゾン・ロマーヌ、そして村に残るいくつもの建造物。それらは、ヴォーヌ=ロマネが持つ歴史的価値を物語っている。彼がとりわけ望んでいるのは、訪問者が、なぜそれらの建物が今日までここに残っているのか、そして所有者たちがどのようにその存続に努めてきたのかを理解することである。この考え方は、Vosne-Romanée Culture & Arts Centerが目指す活動とも自然に重なる。世界的に知られる「ヴォーヌ=ロマネ」という名を、家族、アーカイブ、建築、葡萄栽培の営み、そして地域の記憶からなる、より広い歴史の中に置き直すこと。名声をさらに重ねるのではなく、この村が持つ奥行きを、より深く理解できるようにすることが目的である。


外に開きながら、村の尺度を失わない
住民、葡萄栽培家、そして訪問者の関係について、オーディフレッドは「バランスは自然に成り立っている」と考えている。訪問者は、生産者が常に応対できるわけではないことを理解しており、住民も訪問者の存在そのものを負担とは考えていない。同じ節度は、ガストロノミー、映画、サン=ヴァンサン・トゥルナント、アカデミー・コンティ、さらに新たな文化的取り組みについて語る際にも表れる。彼はそこに可能性を認めながらも、ヴォーヌ=ロマネは際限なく催事を増やすことに適した村ではないと指摘する。重要なのはイベントの数を増やすことではなく、外への開放性、文化活動、そして日常の村の暮らしとの間に適切な均衡を保つことである。
受け継ぐためには、変えなければならないこともある
インタビューの終盤で、オーディフレッドの「継承」に対する考え方は最も明確になる。2032年を見据え、村長が残したいと考えているのは、正常に機能し続け、より美しく整えられ、これまで手が行き届いていなかった場所も修復された自治体である。そして自身については、「住民の声に耳を傾ける村長」でありたいと語る。しかし同時に、遺産を尊重することは、過去の方法を機械的に繰り返すことではないとも強調する。気候変動を前に、葡萄栽培家も変化していかなければならない。「先人たちがこうしていたのだから、私たちもまったく同じようにすればよい」と考えるだけでは十分ではない。時には「一つの段階を越え、もう一段先へ進む」必要がある。それは、ヴォーヌ=ロマネというクリュ、すなわちこの土地の葡萄栽培地域、その葡萄畑、そしてそこから生まれるものが、これから先の年月、さらには何十年にもわたって存在し続けるためである。アンリ・オーディフレッドにとって「守る」とは、変化を拒むことではない。変化を受け入れることのできる、生きた継続を保つことなのである。

インタビューについて
2026年8月27日、フランス・ヴォーヌ=ロマネの村役場にて、オリヴィア・マツモトがアンリ・オーディフレッド氏にインタビューを行いました。