top of page

文化交流と創造性の祭典「アート・バーゼル香港 2024」


3月26日より、アート・バーゼル香港が香港コンベンション・アンド・エキシビション・センターで開催されます。40の国と地域から世界有数の242ギャラリーが参加する2024年度のアートバーゼル香港は、昨年比で参加ギャラリーが65増加し、パンデミック以前の規模まで回復しています。5つの展示部門を通じて提示される芸術表現の並外れた多様性、カンバセーションズやフィルムのプログラム、香港の文化機関とのコラボレーションなどに特徴付けられる本フェアは、今回もまた、対話や発見、地域を超えた文化交流の場としての役割を果たし、開催都市である香港にしっかりと根ざしていきます。


Art Basel HK2023

昨年開催されたアート・バーゼル香港の様子


Encounters

エンカウンターズ・プログラムでは、アートスペース・シドニーのエグゼクティブディレクター、アレクシー・グラス・カントワーがキュレーションを担当し、「わたしは出会ったものすべての一部である」をテーマに、幅広い地域のアーティストによる16の大規模プロジェクトを発表します。そのうち11点が本フェアのために作られる新作で、2013年のプログラム開始以来、これほど多くの新作が実現するのは初めてのことです。さらに、シドニー在住のアボリジナルのアーティスト、ダニエル・ボイドによるプロジェクトが、エンカウンターズ・プログラムの会場から離れた香港のパシフィックプレイスにて展示されます。ボイドの作品は、視覚的かつ概念的な要素として点描を用い、アイデンティティや記憶、知覚や歴史といったテーマを探究しています。本プロジェクトはクッチェ・ギャラリーおよびステーション(メルボルン、シドニー)からの出品で、エンカウンターズ作品の別会場での展示をサポートする公式パートナーであるスワイヤ・プロパティーズが支援しています。


Cabinet

過去最多の33ギャラリーが参加するキャビネット・プログラムは、ギャラリーのメインブース内でテーマ性のある展示を行う企画で、アジア太平洋地域のアーティストを単独で紹介していくことに力を入れています。千高原藝術空間(成都)では、中国のアーティスト、ビ・ロンロンによるインスタレーション作品が発表されます。これは、都市や文化のパターン、インターネット、個人的な記憶、アーティストの環境との相互作用を深く探求するものです。一方、チョヒョン画廊(釜山)では、韓国の巨匠、故パク・ソボの絵画シリーズが展示されます。彼の作品は非凡な物質性やリズム、技法が特徴で、観客はその魅力に引き込まれることでしょう。ヘラルド・ストリート(ロンドン)では、香港出身のアーティスト、キャリー・コックのアクリル・インク絵画が展示されます。この展示では、コックの交流や家庭生活、アートの歴史に映画的な探究が光を当てられます。ヤーヴァズ・ギャラリー(シンガポール、シドニー)では、タイを代表するアーティスト、ピナリー・サンピタックの新作が展示されます。彼の作品は、有機的な構造や素材、聖と俗の二面性を探求し続ける彼の探究の成果を示しています。さらに、ジェシカ・シルバーマン(サンフランシスコ)では、アメリカ人アーティスト、ロイ・ホロウェルの絵画シリーズが紹介されます。彼の作品は、性や生殖、霊性を探究し、観客に深い感銘を与えます。最後に、アネリー・ジュダ・ファインアート(ロンドン)では、ロシアの前衛芸術家であるカジミール・マレーヴィチや他のアーティストの作品が展示されます。これらの作品は、無対象芸術に大きく寄与し、芸術の歴史に残る重要な作品です。


Art Basel Hong Kong

Elizabeth Magill, Duggans Bay, 2022. Courtesy of Annely Juda Fine Art


Film

マルチメディアアーティストであり、映画プロデューサーでもあるリー・ゼンフォアがキュレーションするフィルム・プログラムでは、文化をテーマにした動画チャンネル「ナウネス」や、ビデオアートを専門とする香港有数の非営利団体「ビデオテージ」とのコラボレーション作品など、刺激的な10作品が上映されます。本プログラムは3月27日から30日まで、HKCECで開催されます。特に注目を浴びる作品に、中国の映画監督チュウ・ジョンジョンの《A New Old Play》(2021年)、ドイツ人アーティスト、アンネ・イムホフ初の映像作品《Sex》(2021年)、香港のアーティスト、ウォン・ピンによるシングルチャンネルアニメーション《Sorry for the Late Reply》(2021年)、韓国人アーティスト、キムスージャの《Thread Routes -Chapter IV》(2014年)、スウェーデン人アーティスト、アンナ・ウッデンベルグによる映像作品《Useless Sacrifice(2022-2023年)の5点が挙げられます。


Conversations

ライター、編集者であり、アートバーゼルのアジアコンテンツアドバイザー兼アジア担当編集者であるステファニー・ベイリーがキュレーションを担当し、3月27日から3月30日までHKCECのホールで開催されるカンバセーションズ部門は、文化芸術界の重要人物による精力的な対話の場を参加者に提供します。本部門には、15以上の国や地域から11人のパネリストとスピーカーが参加します。アートウィーク東京との共催により開催される大竹伸朗と村上隆によるディスカッションや、ヘイワード・ギャラリー(ロンドン)での個展を控えたヤン・ヘギュ、大館のアート部門責任者であるパイ・リーが司会を務めるパネルディスカッション、ツアイツ・アフリカ現代美術館のチーフキュレーター兼エグゼクティブディレクターのコヨ・クオ、M+ディレクターのスハンニャ・ラッフェル、ドゥルジョイ・バングラデシュ財団の創設者であるドゥルジョイ・ラーマンを迎えたラウンド・テーブルなど、魅力あふれる「Conversations」プログラムが用意されています。

M+

ファサードコミッションアートバーゼルはHKCECにとどまらず、M+と3年連続でコラボレーションを行い、同館の象徴的なファサードを活用するなど、香港全域にわたってアート活動を展開しています。アートバーゼルとM+による共同委嘱およびUBSによる提供でお届けする今年の作品は、アーティストであり映像作家でもあるヤン・フードンによるサイトスペシフィックな「建築的映像」です。香港にてモノクロフィルムで撮影された本作では、海辺の村や夜の街並みのシーンが交錯します。ヤンは、1970年代から90年代の香港名作映画における視覚的なモチーフや質感を参照し、郷愁と親しみを想起させることを目指します。M+のファサードにて上映される本作に音声はありませんが、その観賞体験は無音とはほど遠く、ヤンに言わせればそれは、それぞれの鑑賞者が周囲の独特な音響風景を取り入れながら観賞することを促します。また、本作品は香港の過去と現在の断片を織り交ぜ、予測不可能な未来を予感させる短詩として機能するように意図されています。


Art Basel Hong Kong

Gillian Wearing, After Manet (my hand), 2023 © the artist, courtesy Regen Projects


Art Basel Hong Kong

Sofu Teshigahara, Title unknown, 1950s–1970s © Sogetsu Foundation. Courtesy of Taka Ishii Gallery

Photo: Kenji Takahashi

 

アート・バーゼル香港


会期(一般公開日程)

3 月28 日(木)14 時-20 時

3 月29 日(金)14 時-20 時

3 月30 日(土)13 時-19 時


会場

香港コンベンション・アンド・エキシビション・センター

1 Expo Drive, Wanchai, Hong Kong)


チケット情報


bottom of page